2011年06月11日

手織と動力織機

織物はなかなか説明が難しいものがあり、消費者にわかりやすく伝えるのは簡単なことではありません。

単純な紬などの平織は簡単です。経糸を上げて、緯糸を通して、その経糸が下りて柄を織り出していったり無地場を作ります。

こういうものは確かに織機で織るより手織の方が時間がかかりますし、確かに一般的には手織の方が高くつきます。

だから手織が上等で、織機は安物というようなイメージを抱いている人が多いと思うのですが、ことはそう簡単でもありません。

手織で織る必要があるものは確かにあります。本場結城などの極細の糸を使うものは、織機では糸が切れるでしょうし、手織でゆっくり織る必要があります。
またあまりにも多色使いの物等も手織でない通れません。

ですから一般的には手織は高級品だと説明する販売員があるとおもいますが、これは間違いです。
西陣織などでの手織は本当にわずかしかないのですが、それが必ずしも高級なものではありません。
通称すくいという洒落帯がありますが、これは経糸を手に持った杼ですくっていくようにして柄を織りだすので、手織です。でもそんなに一般的には高級な織物ではありません。
下絵だけがあって紋図がいらない単純な織物です。

手織の綴れもほぼ同じような技法ですが、組織的には単純でそれほど高級とも言えません。

ただ中にはすくいながらまるで絵を描いていくように素晴らしい表現力のある織り手がいて、そういうものは時間もかかり安価なもではありませんが、ただそういう職人さんは極めて少なくかつ高齢化しているようです。

一番大変なのは非常に組織も柄も複雑で細かく、多色を使い、ゆっくり織らないとできないもので、これは手織で作るのですが、現実は現在西陣で手織でそうしたものを作っているところは極めて少ないのです。

現実にそうした複雑な組織のものを手織で織るとなると、その組織を制御する機械が織機の上の方に置いてあるのをペダルのようなものを足で踏んで上にあげて経糸を引っ張り上げるので、相当な重労働なのです。

昔はジャガー機は紋紙で制御していましたの、ピアノマシンで穴を開けた紋紙が多いものだと1万枚以上織機の上の方にあったのです。今はダイレクトジャガード機と言って経糸をコンピューターが制御できるようになって紋紙をほとんど作らなくてもいいようになっています。

まあ種々の事情などから手織は職人も高齢化し、効率化もあってすくいや綴れ以外の手織りは中国で作っているもの以外はほとんどないのです。

しかしそれに近い織り方を動力織機でも出来るのです。
梅垣織物の高級な帯がそれなのですが、低級な帯の様にスイッチ入れたら織り上がるまで止めないというのではなく、無地場などはある程度動力を使って織るのですが柄のところはほぼ手織と同じことをして織り込んでいます。

ちょっと詳しく解説するのは難しいのですが、こうした織り方を手越(てごし)と言っています。
織り上がりは手織の物と何ら遜色なく、縫い分けと行って不必要なところに糸も通っていません。
これは西陣の知恵だろうと思いますが、その中でも最高峰にあるのが梅垣織物の高級品で、引き箔もその織機でできます。
まあ一見は百聞に如かずと言いますし、お買い上げいただいているお客様のご要望があれば京都でご覧いただけるよう手配いたしております。

西陣の織の組織は大変複雑で、それこそが世界一の技なのです。
この織り方ができなくなる恐れが現実のものとして見え始めており、この手越しの高級品でさえ、あとどれだけ織れるかわからないとのことです。

これはその材料不足の問題もあるのですが、あまりにも需要が落ちていることが一番の原因ですし、当店ではできるだけお値打ちにそうしたものを提供できるようにと思っております。
今回の会でもそうしたものも展示しておりますのでご鑑賞下さい。

わたしで分かる限りのご説明は致します。

この文章は織の専門家から見るとかなり大雑把なものでしょうが、必ずしも手織だから高級ということでは二ということをご理解いただければ幸甚です。

友禅でも手描き友禅の軽いものよりは、手捺染の多色使いの複雑なモノの方がはるかに大変です。ですからそういうモノづくりもなくなってきましたし、職人さんもほとんどいません。

職人さんの高齢化や技量の低下を、機械で補助するということは悪いことではなく、ほぼその手織の高級なことを実現してきたのです。

少なくともその手越しの技法だけはこれからも残って欲しいものですが、本当に先行きはわかりません。私もその価値ある織物をできるだけ皆様にお勧めしていきたいと思っております。
  

Posted by 銀座泰三  at 01:10Comments(0)TrackBack(0)

2011年05月11日

やっぱりお召しは売れているそうで

昨日今回のお召しの会のお世話になる商品を西陣に見にいってきました。

色々話を聞いていると、私が想像した通り、ここの所販売実績が伸びていて大変忙しいようです。
そのせいか、実際お召し糸を使わない、平糸使いの紋織りのものもお召しと総称されているそうです。

価格的に値打ちがあること、着易いことなどがようやく認知され始めたのは、お召しのファンと私としてもうれしいことです。

ただ西陣の産地問屋の人が、小売屋の展示会に販売のために出張するというので、なぜかと聞いたら、売る側がまだまだお召のことを分かっていないというので、驚きです。

この織物は組織としては非常に単純で、白生地と同じです。帯の複雑な組織を解説するのは難しいですが、それに比べるととても簡単です。

一度産地に来て織っている現場を見ればすぐ理解できるでしょう。

私はこれからの時代特に売り手の知識が問われると思いますし、特に製法は弁ky干していただきたいと思いますし、京都に来た時に京友禅と、西陣織の現場を是非見に行っていただきたいものです。

またお召しにマッチする梅垣織物のお洒落な帯もそろえてもらいました。

その辺の洒落帯に比べて、本当に上質な梅垣さんの帯は是非お勧めいたします。

東京の消費の低迷はモノづくりに大きな影響を与えます。ただでさえ生産が極端に落ち込み、その上震災に次ぐ大型倒産で、今京都は深刻な状況ですし、産地のためにも東京でも啓蒙活動にこれからも務めていきたいと思います。
  

Posted by 銀座泰三  at 16:42Comments(0)TrackBack(0)

2011年04月11日

昨今上海事情

午前中工場の人と商談をして、昼飯を食いながら色々な話聞いたのですが、中国の経済成長は基本的にはまだまだ陰りは見えないようです。

巨大なビルがまだまだ次々と建築されていきます。

ただ問題なのは上海などは非常に物価が上昇していますし、当然ですが人件費はとても上がっています。
家賃が相当上がっているので、田舎から働きに来ていた人が帰ってしまったり、条件のいいところへ移るので、どこも求人の張り紙がしてありました。

上海という街は、外から来た人(外省人というのですが)がサービス業などを支えているだけに、人手不足になると深刻な事態となります。

それほど変わっていく上海ですので、今大学卒業しても日本の商社などには勤めたくないそうで、欧米系の会社が人気ですし、いまや中国国内の貿易商社の方が給料が良いところもあって、しかも日本の場合は現地社員として2年間ほどの契約社員という形が多いらしく、優秀な人間からは完全に敬遠されているようです。

欧米の会社は、給料も日本よりはるかに高く、しかも正式な社員としての雇用で、実力次第ではどんどん昇進の望みもあります。
これからは日本も真剣に考えないと、困った事態となるでしょう。

上海の人から見ると、日本人は確かにどの社員も真面目でよく働くけれど、何か余裕がないし、給料も安い。

その点アメリカ人などは現地のスタッフを良く言えば信用し、上手に使って楽をしているという風に見えるそうです。

どうしてこんな風に差があるのか。日本の商社でも、ほとんどどの国ににもいち早く商圏を求めて動いていますし、とても足は速いのですが、あとから来た欧米人に大きな仕事を浚われていきます。

日本の一流会社でもいわゆるサラリーマン集団で、近年まるで役人のように均一化し、オーナー系の欧米や中国韓国などに意思決定のスピードで負けているのと、長期での視野がありません。

このままでは益々他国に離されていくでしょうし、相対的な地位を落としていくでしょう。政官財共に危機感をもっと持つべきでしょう。
でも今の政治家のレベルでは心配です。

一部のインテリは別ですが多くの中国人は日本全体が放射能汚染をしていると思っているようですし、居酒屋でもこれは日本の魚ではありませんと言っています。

この風評を何とかしないと中国人が日本に戻ってくれません。今や飲食店などは中国人のアルバイト無くしては成り立たないのですし、外務省がもっとしっかりした情報発信をしないといけません。本当に何事も後手後手のだらしない限りです。

それにしても人件費の安さが魅力だったというモノづくりはこれからは急激に難しくなるでしょうし、先のことを考えておいた方が良いと思いますね。

みんな大震災のことは知っていて、あまりの惨状に涙を流している中国人も多いようですが、日本政府の対応の遅さに憤慨している人も多いようです。

中国ではtwitterもfacebookもできず、中国政府は民主化運動にとても神経をとがらせていますが、いずれは大きなうねりが来そうな気もします。

キモノへの刺繍の仕事はとても落ちているようですが、近年非常にたちの悪い業者が刺繍をさせておいて金を払わないということが横行しており、最近は先払いでないと仕事をしないとどこでも断られるようです。少なくとも私の付き合っている工場では、昔からの信用あるところとしかしないと言っています。現実にやってくれという話はあったそうですが、すべて断ったそうです。

震災を契機に、職人さんに金も払わないようなところはほとんどオミットされて行くでしょうし、そうでなければならないと思います。

中国人の観光客が日本に来ませんが、日本人の観光客も非常に少なく意外でした。

どんどん変わってく中国でいつまであの秀逸な技を維持できるのか、先の見えない状況となってきました。

明後日一応東京に戻ります。
  

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2011年04月11日

中国情報規制

上海に4か月ぶりに来ています。

今回パソコンを持ち込んでいますが、驚いたことに中国ではtwitterもfacebookも普通にはつながらないのですね。

どういうわけかMIXIは繋がります。
インターネットの情報規制は本当に厳しいようです。

こんな大きな国がいつまで一党独裁政権を続けられるのかは疑問ですが、とりあえずは世界へ、あるいは世界からよけいな情報を得ないようにという規制がかかっているのは確かなようです。

一党独裁はある意味何かをなすときにはスピードがありますので、この経済成長にはプラスだったかもしれませんが、あまりにも資本主義が横行している状況での民主化阻止はなかなかの難しい問題でしょうし、またその動きが世界に大きな影響を与えるでしょう。

これからの10年でまた中国は大きく変わっていくのではないかと思います。

ところで今日は上海空港のイミグレに案の定、放射線を測定するゲートが作られていました。

作動していたのかどうかはわかりませんが、一応全員そこを通らされました。

中国人は日本がすべて放射能汚染にさらされていると本当に思っているようです。
関西空港も、中国人の観光客など皆無で、とても静かです。

早く何とかしないと、観光客が戻りません。京都も観光関連業者は大変困っているようです。

もっと外務省が世界に正しく情報を出してほしいのですが、出ていないとしたらやはりおかしいのかと勘繰られますね。

上海はすごいスモッグですし、こちらの方がずっと健康に悪いと思いますね。
ですから最近は余りホテルの部屋から出ません。

  

Posted by 銀座泰三  at 16:49Comments(0)TrackBack(0)

2011年03月31日

花街の踊りの会

京都は春、秋に、各花街の舞踊の会があります。

春には上七軒の北野をどりを皮切りに、祇園の都をどり、宮川町の京おどり、先斗町の鴨川をどりと続きます。

各歌舞練場での開催ですが、京都の風物詩でもあり、多くの観光客で賑わいます。

ただ今年は外国の観光客が少ないだけにどうかなとは思いますが、どこも中止というようなことはなく例年通り開催されます。

昨日その北野をどりを見にいってまいりました。

上七軒はここの所舞妓さんが次々と出て、今や12名になりました。
中には出身が種子島や福江島ということで驚いています。

北野をどりは1部が舞踊劇で2部に四季に合わせた小曲の踊り、フィナーレは上七軒夜曲という構成です。

昔は1部の舞踊劇も地方の生演奏でしたが、今では録音されたテープでの踊りとなり残念です。

舞妓は次々出ても地方がいませんから、2部の演奏でもプロの演奏家に数人手伝ってもらっています。

ここの音楽は清元梅吉さんが担当することが多いのですが、彼は清元の三味線方であるとともに、松原奏風という名で、奏風楽という新邦楽を興し、多くの作曲を手掛けています。

奏風楽は大和楽という同じような新邦楽と似ているのですが、非常に素直で綺麗な唄い方をしますし、時々音をハモらせたりします。
洋楽に似た邦楽と言うような感じです。純邦楽では音を三度違いやオクターブでハモったりすることはまずないのです。

今回もそうした新邦楽と、本来の清元調の語りとをミックスしたような曲でした。

平日でしたが満席ではないですが、結構な入りでした。切符のキャンセルなどもあったと聞いていますし心配でしたがまずまずでしょう。

ただ夜の宴会などはやはり相当キャンセルが多かったようです。

当面は仕方がないとはいえ、あまりの自粛ムードは、日本全体が食えなくなってしまいます。

東北の地元デーパートが早速に今日倒産しましたが、こうしたことが続きそうで気になります。

  

Posted by 銀座泰三  at 20:17Comments(0)TrackBack(0)